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最高裁判所第二小法廷 昭和49年(行ツ)101号 判決 1975年3月06日

横浜市港北区菊名町七一〇番地

上告人

居関食品株式会社

右代表者代表取締役

居関稔

横浜市神奈川区栄町一丁目七番地

被上告人

神奈川税務署長

幡野寿治

右指定代理人

五味高介

右当事者間の東京高等裁判所昭和四八年(行コ)第五八号、第六二号法人税額等決定処分取消請求事件について、同裁判所が昭和四九年七月二日言い渡した判決に対し、上告人から一部破棄を求める旨の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

所論の点に関する原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、すべて採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小川信雄 裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田豊)

(昭和四九年 第一〇一号 上告人 居関食品株式会社)

上告人の上告理由

一、原審は金二、九四八、二四五円が求償債務の額であると自ら認定していながら、その額を損金に計上することはできない筋合いであるとの判決は、法人税法第二二条の規定に違背する。

(一) 法人税法第二二条は、法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額とするとし、同条第三項は法人の所得の金額の計算上損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。即ち

「一、当該事業年度の収益に係る売上原価・完成工事原価その他これらに準ずる原価の額 二、前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く)の額」と規定する。

(二) ところで競売において発生する求償債務は、右記(二)に規定する「その他の費用」に該当することは明らかであり、このその他の費用について「償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く」と、説明規定するが、求償債務は償却費でないことは明らかであり、且つ債務の確定しないものを除くとの債務の確定の有無については、原審はその判決理由第三項の末尾(判決書第六枚第五行)において

「であることが認められ、その合計額たる二九四万八二四五円が昭和四四年三月末日現在における第一審原告の物上保証人らに対する求償債務の額ということになる」と明確に上告人の求償債務の額であることを認定する。

(三) 従って法人税法第二二条の規定に準拠する限り、求償債務と確定した金二、九四八、二四五円が自昭和四三・四・一日至昭和四四・三・三一日事業年度の所得の金額の計算上、上告人の損金の額に算入すべきであるのに、原審はその判決書第六枚裏第二行に「税法上一審原告の損失として損金に計上することはできない筋合いである」、損金に算入するのを否定する判決は法人税法第二二条の規定に違背する。

法令違背の判決として破棄されねばならない。

二、原審は上告人の申立てざる事項に付判決をなす違法がある。

(一) 即ち判決書第六枚の裏第二行に「税法上一審原告の損失として損金に計上することはできない筋合いである」及び同頁第五行「一審原告が昭和四四年事業年度に蒙った損金の額は」と、それぞれ上告人の損失若しくは上告人の蒙った損金の額はと判決する。

(二) 然るに本件は競売において発生する所有権喪失という物上保証人の被る損失についての事項がその課題であり、上告人の損失は本件には無関係の事項である。

上告人は本件について、第一審以来一言たりとも「自らの損失又は損金について」の主張及び請求をなした事実はないのに、一審原告の損失又は損金の額はとの判決は上告人の申立てざる事項である。

民訴第百八十六条の「裁判所は当事者の申立てざる事項に付判決を為すことを得ず」との規定に背くものであり、違法なる判決として破棄されねばならない。

以上

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